INTERVIEWS
スタッフインタビュー
DESIGNER
サーカスのように仕掛けが
いっぱいの魔法をかける衣装
自身のブランド「TRNKA(トルンカ)」でデザイナーとして子ども服づくりに携わり、子どもと接する機会も多い伊藤 綾さん。理論にとらわれない自由な服作りの姿勢がうかがえる、衣装デザインのコンセプトや製作過程についてお話を聞いた。
スタジオ空間から得たイメージを追求して完成した衣装
芝公園に佇む重厚感のあるビルディング。歴史を感じる建物のドアを開けると、天井の高い開放的な空間とスタジオを象徴するような螺旋階段が目に飛び込んでくる。
デザイナーの伊藤さんはそんなスタジオの空間からサーカスをイメージし、空間の登場人物としてブランコ乗りの少女や鳥使いの鳥男をモチーフに衣装をデザインしたという。
子どもが身につけるからこその豊富な着こなしの提案
「衣装を着た子が写真になったイメージをもとにデザインしましたが、子どもが嫌がらない素材を用いることは前提としてありました」と語る伊藤さんは、子育て中の母親でありキャリアの中で多くの子どもと接してきた。
帽子が苦手な子がいれば、装飾的なデザインを着たくない子もいる。それぞれに個性がある子どもたちを尊重するように作られた衣装は着脱可能なディテールが豊富で、同じ衣装でも多彩な着こなしを叶えてくれる。
一度しかない瞬間のための特別感を
自身のブランドでは「特別な日に着て、その後の日常にも対応できる服」をデザインしている伊藤さんは、今回の衣装では「特別な日のための服」を意識していたという。
できあがった衣装は非日常的なスタジオの空間とあいまって、特別な存在感を放っている。
また、ふんだんなチュールレースや鳥の羽など、どこか幻想的な趣の素材を用いる一方で、ツヤのある素材によるモダンな要素も絶妙なバランスで盛り込まれている。
「STUDIO MARLMARLの空気感はシーズンレスでタイムレスだけどどこかモダンなので、その流れを汲み取るようにデザインしました」
子どもがそこにいるだけで絵になる衣装
「おすすめのポーズは特にありません」と伊藤さんは言う。動き回ってもいいし、逆に緊張して動けなくても、できることが限られている月齢の幼い子でも一瞬の非日常を写真に残せるようアイデアのきらめきが衣装に散りばめられている。